知っておきたい防犯に関する豆知識

防犯対策は、ただ防犯性の高いシリンダーに交換すればいいというものではありません。ドアの形状や、ドア枠、玄関の環境、住居の窓ガラスの位置など、様々なものが関係してきます。また、どのような相手(空き巣、ストーカー、嫌がらせなど)を重要視するかにより、防犯対策も異なってきます。知識としてある程度の対策や特徴をお伝えし、カギ交換の際の予備知識としてご参考になれば幸いです。

相手をイメージすることが大切

空き巣が侵入して退出するまでは、だいたい5〜15分だと言われています。例えばピッキング泥棒を警戒していれば、シリンダーを不正解錠しにくいものに交換すればいいでしょう。しかし空き巣などはピッキング対策だけでは不十分です。どうやら、空き巣にもそれぞれ得意分野があるらしいのです。

カギをかけていない玄関を探して入る空き巣、カギのかかっていない窓を探し侵入する空き巣、窓を割って堂々と入る空き巣、ピッキングにより不正解錠で入る空き巣など、本当に様々のようです。時代とともに空き巣も進化し、いろいろな方法を考えてきます。

確かに効果がある防犯対策

特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律ができ、業務やその他の正当な理由による場合を除いて、特殊開錠用具(ピッキングツール)の所持は禁じられるようになりました。そのため、侵入犯罪は一時期と比べるとかなりの減少傾向にあるようです。この法律は、特殊開錠工具や指定侵入工具を一般の人が持ち歩くことを禁ずるもの。つまり、ピッキング空き巣なども、空き巣をする前に捕まえることができるということです。それもあり、防犯対策の効果が出ているのでしょう。

ドアのマークにはご注意を

ドアの隅などに今までマークみたいなものが付いていなかったのに、小さいマークなどが書かれている……。これは、泥棒同士の暗号のようなものらしいのです。グループで空き巣などをする場合は役割分担などがあり、ドアホーンなどを鳴らして留守を確認しマークを付ける係と、そのマークを見て空き巣に入る係と、その空き巣に入るときにいる見張り役もいるそうです。

主な空き巣の手口

A.カギをかけていない玄関を探して入る空き巣
B.ピッキングによる空き巣
C.サムターン回しによる空き巣
D.バールによる強引なドアの開錠による空き巣
E.カギのかかっていない窓ガラスを探して入る空き巣
F.ガラス窓を割って侵入する空き巣
G.音を最小限にして窓ガラスを割って侵入する空き巣
……etc。このように、空き巣には様々な種類があります。以下では、代表的な事例を紹介します。

上記「A」「E」のようにカギのかかっていない場所を探して侵入する空き巣

留守にするときにはカギを閉めるという自己防衛ができます。「うっかり忘れていた」「ちょっとの時間だから」などと思う方もいらっしゃいますが、しかし自己防衛をしなければ、いくら防犯対策をしても無意味になってしまいます。まずはカギをきちんと閉めることから始めましょう。

「B」ピッキングによる空き巣の場合

不正解錠しにくいシリンダーの取り付けをお勧めします。過去のマスコミなどで報道された不正解錠。ピックという、本来は錠前技師しか持っていない工具を利用してシリンダーの不正解錠をする空き巣です。今は廃番となっているミワ製品のディスクシリンダーが主に狙われていました。マスコミなどで報道されていたように、本当にすぐ解錠できてしまうシリンダーでした。しかし、マスコミによる過剰報道があるというのも事実です。報道のように、すべてのディスクシリンダーが2〜5秒で解錠できていたわけではありません。カギ山やシリンダーの癖により、すべてのディスクシリンダーが報道されていたような時間で解錠できることはありえないのです。私達プロでも、なかには時間がかかるディスクシリンダーがありました。腕だけの問題ではないような気がします。とはいえ、5分圏内で解錠できるディスクシリンダーは多かったようにも思います。なぜ単なる素人がピッキングで解錠できたのでしょう。いくら練習したとは言え、疑問に思うこともあります。
素人でも偶発的に解錠できてしまう、少しコツをつかめば慣れてしまう、というレベルのシリンダーだったのかもしれません。しかし空き巣の技量レベルは当然プロのレベルではなく、素人のそれ。 解錠依頼など、作業はお客様の目の前で行いますが、目で見てすぐに覚えられるものではありません。また、特殊工具などは手工具販売店では売っていません。
元カギ屋さんが誰かに工具を貸与する、または、泥棒がカギ屋で働いていた可能性がないという確証はどこにもありません。さらに、今は法律ができ特殊開錠工具の販売なども禁止されているので特殊開錠工具を手に入れることも難しいでしょう。この業界で従業員を雇う場合は、誰でもいいというわけではありません。モラルのある人、厳重な人などを選び、営業方針についても深く考えなければいけないと、常々考えています。

「C」サムターン回しによる空き巣

まだ防犯サムターンなどを取り付けていない場合は、取り付けをお勧めします。非常に頑丈のものから簡易的なものまで幅広く販売されているので、ご要望にぴったりなものが見つかるかと思います。玄関に高額、高性能なピッキング不可能のシリンダーを取り付けても、サムターン回しによる不正解錠は防げません。 サムターン回しはピッキング泥棒騒ぎの次に被害が多かった不正解錠だと思います。この被害の出始めなど、当店はサムターン回しによる解錠はしていませんでした。 ほとんどの住宅、マンションなどにピッキングでの不正解錠ができないシリンダーの取り付けが多くなっている時期でした。 ピッキングで解錠できないシリンダーが取り付いている場合にキーを紛失してしまうと、当然シリンダーを壊して新しいシリンダーを取り付けるという作業になります。モラルのあるカギ屋さんは、ピッキングで解錠できない場合は、壊す音を出し、時間をかけ、泥棒が絶対マネしないやり方で解錠をします。仮に簡単に開く方法を知っていても、その方法では解錠しません。また、ピッキング作業などは見てマネしても簡単に習得できるものではありません。

このころの防犯性の高いシリンダーを壊すのには、かなりの技術・知識が必要になり、正直言って短時間ですぐドアを開けることは大変でした。すでに一部にはサムターン回しで解錠している業者もありました。

そこでシリンダーの壊し方、電動工具などの使い方、コンセントのない物件などの場合、技術や知識のない業者さんなどは当然困ります。開錠依頼の作業の仕事を取れないからです。そこで技術、知識がない錠前技師用に作られたのが、サムターン回しの工具です。

当店としてはあまりいい工具とは考えていませんでした。なぜならすぐマネされるからです。サムターン回しには、ピッキングのような技術は関係ないからです。サムターン回しの有効的な使用目的を考えるとしたら、強制執行など公的機関の執行官が立ち会う場合に、非常に役立つ工具だとは思います。基本的には壊して中に入ることができないからです。しかし、一般の人の前でこの工具を使用することはよくないものだとも考えていました。

空き巣や泥棒などは自分の住宅に不正解錠ができないシリンダーを取り付け、カギをなくしたことを偽り、私達に開錠依頼をします。当然住所も確認を取りますので、確認が通れれば、解錠作業します。そこで泥棒などは勉強してしまうのです。

また、空き巣をしている人はもっと早く開ける方法を考え、ドアに直接ドリルで穴を開けてサムターン回しなどをしていたのでしょう。

技量や知識、モラルのない業者や作業料金の低価格のみを重視し、この工具を使用することにより、コストもシリンダーを壊す料金もより安くでき、破錠の作業時間よりも早く作業終了し、作業員の技術のレベルも関係なく、電話の問い合わせなどでも“壊さないで解錠できます”と自信を持って答えていたのでしょう。当然受注も増えると思います。お店選びもただ安いだけでは考えものだと思います。

しかし、現在は新築物件などで防犯サムターンなどは標準設置されていて、なおかつ防犯サムターンなどの販売もあり、落ち着いているように見受けられます。

当店への問い合わせで、過去キーを紛失して他店にてサムターン回しで解錠してもらったらしく、“サムターン回しで解錠してください”とお客様に言われたこともあります。それほど世間には広まっているようです。それだけ多くの業者さんもサムターン回しで開錠をするようになったということです。今では当店もこのような状況を見て、必要に応じてサムターン回しでの解錠依頼を承っています。

「D」バールによる強引なドアの開錠による空き巣

ケースロックタイプ、インテグラル錠、円筒錠、は構造上バールに弱い可能性がありますので、ガードプレートなどをお勧めします。ガードプレートも単なるデッドボルトの目隠しのみの使用から、バールのこじ開けに非常に強いものまで、幅広くラインナップしています。面付け錠タイプはケースロックに比べると強いと思います。もし不安なようであれば、面付けタイプの補助錠をお勧めします。

バールは長いと1メートルくらいのものもあり、非常に硬質です。

主にケースロックタイプなどに被害が多いと思われます。バール自体が硬質のため壊れることが少なく、テコの原理で無理やりドアを開けてしまう手口が多いようです。そのような手口の場合、ドア枠の方が凹んでしまいカギがかかったまま開いてしまうこともあるようです。このような手口があるような場所は、まったく人通りが少なく死角になり、長居できる場所(例えば行き止まりのある地下など)が多いように思います。しかしバール本体も他の侵入工具に比べ非常に目立ってしまうため、ピッキングやサムターン回しに比べると被害は少ないのではと考えられます。住宅などの空き巣より、会社の金庫を丸ごと盗むような強引な泥棒が好む手口だと感じます。

「F」ガラス窓を割って侵入する空き巣

ガラスに貼り付けるタイプの防犯フィルムなどがよいでしょう。または窓に取り付ける補助錠(ファスナーロック)などもお勧めです。

ガラスをいろいろな工具で割り、窓のクレセントを開けて窓から入る手口になります。主に戸建の建物に多く被害が出ています。マンションなどの建物は当然、窓のある場所に行くまでが大変なので戸建の被害が多いのでしょう。

戸建の場合はピッキングやサムターンで玄関から入るより、人目に触れない箇所にある窓などから入られることが多いようです。例えば、トイレや浴室などの小窓。その場合は窓を開けさせるのに時間をかけさせるようにすることが重要です。

防犯フィルムなどを使えば、ハンマーでたたいてもガラスにひびが入ったり粉々になったりしますが、割れてガラスが落ちることは少ないようです。クレセント付近に貼りましょう。

クレセントが開いてしまえば窓が開くので侵入を許してしまうことになりますが、クレセントが開かなければ体が入るスペースまでガラスを割らなければいけないので、音が出て時間もかかるので、諦めることが多いと考えられます。

なお、ガラスに鉄線が入っているものは強化ガラスではありません。そのタイプは耐熱ガラスになります。

「G」音を最小限にして窓ガラスを割って侵入する空き巣(ガラスの焼き破り)

窓に取り付ける補助錠(ファスナーロック)などを取り付ける、センサーライトや警報器などを取り付ける、シャッターを閉めるなどが効果的です。

窓から入られるのは「F」と同じですが、焼き破りはFに比べガラスを割る音が非常に小さいのです。一時期マスコミなどでも報道されていました。どうやらガスバーナーなどでガラスを熱して、温度差で割る手口のようです。そうすると防犯フィルムもあまり効果がないように思われます。このような手口の場合は、補助錠などを取り付けるほか、センサーライトなどで誰か入ってきたら光や音を出すような備品を取り付けるのが効果的です。

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